INTERVIEW with BRENDON BABENZIEN / NOAH

INTERVIEW with BRENDON BABENZIEN / NOAH

UNION LAの30周年記念コラボレーションコレクションへの参加を、ふたつ返事で快諾してくれたNOAH創業者BRENDON BABENZIEN。現UNION LAオーナーCHRIS GIBBSのビジネスパートナーとして、そしてプライベートな親友として、その蜜月の関係とコラボレーションプロダクトについて話を聞いた。

―自己紹介と自身のキャリア、またNOAHについて教えてください

NOAHオーナー、BRENDON BABENZIENです。ニューヨーク郊外で育ち、1976年にスケートボードを始め、その後すぐにボディーボードとサーフィンにものめり込むと同時に、史上最高のラジオ局のひとつであるWLIRなどを通して常に音楽に触れ合いながら、情報とカルチャーの嵐の中で多くのことを学びました。その後、ロングアイランドのサーフショップから始まり、PERVERTやSUPREMEなどのブランドを経て、自身のブランドNOAHを設立。かれこれ36年ほど、サーフ/スケート/ファッションシーンでビジネスをしています。NOAHについては、とてもシンプルなゴールを目指したブランドです。それは、ユーモアや進歩の感覚を失うことなく、会社組織として責任のある行動を維持しながら、素晴らしい商品を適切な価格で提案し続けること。また社会的な問題に対して取り組みながらも、楽しむことを忘れずにい続けることも、私たちファミリーにとってはとても大切なことだと感じています。このブランドは、私と妻のESTELLにとって限りなくパーソナルな存在でもあるので、そこは切り離すことはできません。社会における問題解決となるビジネスを作っていきたいですね。

―日本についての印象を聞かせてください

私はSUPREME時代に初めて日本に訪れて以来、ずっと日本の大ファンです。日本人の新しいアイデアや挑戦に対する献身性は、本当に素晴らしい。モノ作りにおけるディテールに対しての拘りや突き詰め方には常に影響を受けてきましたし、家選びや、日本食を始めとする多様な食に対しての完璧なまでの配慮は、心から尊敬しています。またサブカルチャーに対しての強い思いにも感銘を受けています。

―UNIONそしてCHRIS GIBBSとの出会いについて

初めてUNIONを訪れたのは、UNIONのNYがオープンした年だったかな。当時、スケートをするために電車で街に向かい、その流れでさまざまなブティックやレコードショップを回ることが多かったのですが、中でもUNIONはもっともクールなショップでしたね。CHRISと初めて出会ったのは……もういつのことか忘れてしまいました(笑)。あまりに関係性が深いので、まるで少年時代からの幼馴染みのような感覚なんです。とにかく、お互いJAMES(JEBBIA)のショップで働いていたこともあり、私のニューヨークの生活には欠かせないひとりでしたね。彼はカナダ人だからなのか、当時から仲間の中でも最もオープンでフレンドリーな人間でしたし、今も変わらず、誰よりも温かく、正直で思いやりのある最高の人間です。私の妻と彼の奥さんであるBETHも長年の親友ですし、ひとことで言えばファミリーですね。家族ぐるみであらゆる場所へ旅行に行きましたし、LAに行く際には必ず会いに行っています。CHRISと、そして彼らファミリーと出会えたことは、私にとって人生の宝です。

―現在のUNIONについての印象は?

UNIONは、常に新しいモノを見つけ出し、面白いアイディアとプレーンなスタイルをクロスオーバーさせてユニークに魅せる力を持った、リテールショップのパイオニア。時代はデジタルになり、大企業がその資本以上の力を持つ中だからこそ、彼らのような厳選されたアイテム提案がますます必要になってきていると感じています。彼らの編集能力は素晴らしく、そして正直です。NOAHのようなブランドがハイファッションブランドと並列で提案されていることも、とても自然なことなんでしょう。私たちはそんなユニークネスとインディペンデンスを心からリスペクトしています。CHRISがNOAHを応援し続けてくれる限り、私たちはそれに全力で応え、可能な限り協力していくつもりです。その一環というわけではないですが、UNION TOKYOの内装スタイリングは、私の妻のESTELLが担当しているんです。CHRISから「温かみのある空気感とカルチャーを取り入れたいから手伝ってほしい」と依頼され、Sheila Bridgesというアーティストが手掛けるウォールペーパー(壁紙)をラスタファリズムから着想を得た色使いで構成した壁面をはじめ、アフリカンファブリックでカスタムした家具やヴィンテージの照明など一緒に作り上げました。

―今回のコレクションについて聞かせてください

私達はこのコレクションを、“TRUTH , DARE , DREAM”と呼んでいます。それはモチーフに起用した3人の歴史的偉人、DUMAS、BEETHOVEN、SHAKESPEAREのキャラクターとストーリーに由来しています。彼らには、それぞれ別々の物語の象徴を担ってもらいました。真実(TRUTH)、挑戦(DARE)、そして夢(DREAM)のストーリーです。

-THE DARE-〈BEETHOVEN〉

このコラボレーション企画のデザインは、まず私たちが見つけたひとつの記事から始まりました。それは、「ベートーヴェンは黒人だった?」という、とても興味深い推論でした。その記事には、彼の先祖がBLACKMOORSというトライブと結婚していた可能性や、彼自身の身体的特徴がアフリカンに紐付いていた、などのことが記されていました。私たちはこの話にとても興味を惹かれたと同時に、ベートーヴェンに限らず、当時の歴史的抑制により、本来のスキンカラーやアイデンティティを抑え、真実の自分が何者なのかを隠さなければならなかった人間がいたのかもしれない、という可能性について考えさせらたんです。なぜなら私たちが知らされてきた歴史の多くは、勝利者のために偏った、でたらめなプロパガンダばかりであることは既に証明されているからです。だからTシャツのデザインフレーズとして、“WHEN THE LIONS WRITE HISTORY”(ライオンたちが歴史を描く時)という言葉を添えました。アフリカには古くから、「ライオンが自身の歴史家を手に入れるまでは、狩りの物語は、狩人ばかりを賛美する」ということわざがあります。これはつまり、「常に支配的なグループが、歴史物語を通して、その力を暗示する」という意味が含まれているのです。

-THE DREAM-〈SHAKESPEARE〉

このベートーヴェンに関しての問いかけにより奇妙な議論を引き起こされた私たちは、次にシェクスピアの本当のアイデンティティに関する陰謀説について語り合いました。それが、「ウィリアム・シェイクスピアは、実は女性だった?」という説です。そして同じ可能性に辿り着きました。シェイクスピアもまた、当時の偏見と女性差別の背景から、自らの性別を隠さなければならなかったのでは? 真実は何か、今となっては知るすべがありません。そのメタファーとして、“TO THINE OWN SELF BE TRUE”(自分自身に忠実であること)という言葉を選びました。

-THE TRUTH-〈DUMAS〉

そして最後に私たちは、デザインの締めくくりとして、偏見や取り巻く環境に左右されず、真の自分のままで成功を収めることに成功した人物を抜擢しました。それが、『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』などの作品を残した偉大な有色人種作家、アレクサンドル・デュマです。彼はフランス人ですが、ハイチ人のミックスであり、紛れもない有色人種でした。時代に負けることなく、真実のアイデンティティを貫いて歴史に名を残した“PERSON OF COLOR”(白人以外の人種)の存在を、しっかりと提示する必要があったからです。

私たちはこの3枚のTシャツデザインを楽しむと同時に、女性や黒人、またはセクシャルマイノリティたちが、生まれた場所や時代というだけの理由で、無数の人々に阻害され、差別を受けてきた歴史を改めて考えさせられました。そしてだからこそ、今この時代に意味のあるコレクションに仕上がったと感じています。

私たちはこの企画の一環として、WALTS CONSERVATORY OF MUSICと連携し、収益の一部をドネーションとして寄付しています。彼らはとても幅広く、通常では触れ得ないような恵まれないコミュニティーやファミリーたちに、アートへのより良いアクセスを提供するプログラムを構築している組織です。私たちのデザインが、ほんの少しでも社会のために役立ってくれることを祈っています。

―LA開店30周年を迎えたUNIONとCHRIS GIBBSにメッセージを

CHRIS、BETH、そしてUNIONチームスタッフのみんな。素晴らしい洋服とカルチャーに触れ合うことのできる、美しくも刺激的なスペースを作ってくれて、本当にありがとう。スタイルを高め、ファッションの文化を有意義に、楽しみながら進化させてくれたこと、そして常に偽りのない姿勢に、心から感謝します。このインダストリーは間違いなくUNIONを必要としていると同時に、UNIONがリーダーシップを取り続けてくれているからこそ、繁栄し続けているのだと感じています。信頼できるショップ、ブランドともに、これからも私たちのインスピレーションとなる刺激的な場所を構築し、その才能とビジョンを世界に発信し続けてください。

BRENDON BABENZIEN

 

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