スタートから30周年のアニバーサリーイヤーを飾るUNION LA。さまざまなコラボアイテムのリリースを控える中、今回インタビューゲストに迎えたのは、FEAR OF GODとそのディフュージョンラインESSENTIALSを率いるJERRY LORENZO。旧くから親交のあるCHRISとの関係性や今回のコラボレーションについて語ってくれた。
―自己紹介と自身のキャリア、またブランドについて教えてください
FEAR OF GOD / ESSENTIALS のデザイナーを務めているJERRY LORENZOです。私は青春時代のほとんどをスポーツに費やしてきました。そのため自分にとってのファッションの憧れはプロアスリートたちにあり、彼らから大きな影響を受けています。服というプロダクト自体、ファッションとして着る事も愛していますが、最も自分にとって大切なのは「快適で洗練されていること」。芸術的でコンセプチュアルであることよりも重要視しています。だから魅力的に感じるデザインというのは、機能的なアイテムをはじめとする、洋服として意味のあるものが多いですね。自分たちのブランド、FEAR OF GOD / ESSENTIALS としてのゴールは極めてシンプルで、次世代と寄り添う存在であることです。私たちが作るプロダクトはユニークな視点を持っていると自負しています。世界が変化していく程にブランドの表現も発展していくし、これからも時代が求めているものを提供し続けることができると信じています。
―日本についての印象を聞かせてください
日本は大好きで、東京は最高の都市のひとつ。人柄も、文化も大好きです。コロナ禍以前は1年に2回は日本を訪れていて、よく買い物をしながらヴィンテージショップに立ち寄り、アイテムやお店の雰囲気からインスピレーションを受けていました。ヴィンテージショップではないけれど、原宿にあるカレー屋「カリーアップ」はお気に入りショップのひとつで、CHRISともよくカレーを食べに行っていました。下の写真はCHRISと、デザイナーのMELODYの3人で食事したときの写真ですね。
―UNIONそしてCHRIS GIBBSとの出会いについて
UNIONとの出会いは2000年初頭ぐらいで、私がシカゴからLAに引っ越した時でした。CHRISの存在は元々知っていたし、お店で見かけることも多かったから、すごく自然と仲良くなって、長い時間の中で深い関係性を築いていきました。最初に会ったのはCHRISの店(UNION LA)。それからは彼の家族と一緒に買い物に行くこともあったし、一緒にパリや日本へ出張を兼ねた旅もしました。彼は洋服も、それ以外のことでも、自分に今までなかった視点を広げてくれたり、新しい経験をする機会をくれる数少ない人物です。また驚くかもしれませんが、CHRISは私がこれまで会った中でも、最高のカラオケシンガーなんですよ(笑)。まさか彼にそんな才能があるなんて誰も想像できないと思うけど、もしカラオケ大会があったら他の誰よりも彼に賞金を渡したいと思います。そのくらい最高のシンガーなんです。ファッション業界人と聞いてイメージする人物像とは真逆の性格で、大らかで暖かい心を持っていますね。
―現在のUNIONについての印象は?
UNIONは、ラグジュアリーとストリートが交差しはじめた時代から続く、最も優れたセレクトショップのひとつ。唯一と言えるぐらい、総体的に語りかけてくるお店です。UNIONへ行けば、自分が欲しいと思っていたもの全てを見つけることができると思っています。どんな会社でも、オリジナリティとはそのリーダーから生まれるものだと私は考えていて、バイイングもレイアウトも、CHRISと彼のチームの個性が際立っています。ストリートもラグジュアリーもアップカミングなブランドも、すべてを見事にひとつの世界観でまとめて一堂に並べることができる。彼はそんな不気味なぐらいの能力を持っています。
―今回のコレクションについて聞かせてください
CHRISとの取り組みはいつも、すごく自然に始まるんです。何よりもまず私たちは友達なので、ほとんどのアイディアは普段の会話から生まれますね。今回の30周年アニバーサリーに関しては、もはや口に出すまでもなく、ESSENTIALS として喜んでコラボレーションに参加させてもらいました。実はタイダイ柄のアイテムに少し苦戦してしまって、その分デリバリーが遅くなってしまいましたが、ようやく準備が整いましたので楽しみに待っていてください。今回私達が実現したかったのは、極めてシンプルでイージーなこと。デザインの意外性やクレイジーなことは提案したくありませんでした。UNIONと私のブランドとの絆を深めることだけがこのコラボレーションの願いです。
―LA開店30周年を迎えたUNIONとCHRIS GIBBSにメッセージを
私の期待はアンフェアかもしれません。CHRISはきっと、私が思う以上に明確で高いビジョンを持っているでしょう。ラグジュアリーとストリートの間に生まれたこの新しい場所、そしてアメリカンラグジュアリーという新たな定義の中で、UNIONが引き続きこのムーブメントを牽引する存在であり続けて欲しいと思っています。
Keep going!!
JERRY LORENZO