INTRODUCING : CACTUS STORE

INTRODUCING : CACTUS STORE

CACTUS STORE(カクタスストア)、"HOT CACTUS"の愛称で親しまれるLAのブランド。文字通り、”ホット”な活動で、飽きさせない、唯一無二の存在である。その名の通り、多肉植物・サボテンという植物をモチーフに様々なプロダクトを発表している。数多くの多肉植物・サボテンの自生地写真と共に、海外の多肉植物界のレジェンド達のインタビューを掲載した本”XEROPHILE(ゼロフィル)” や、柔術着とカクタス・ガーデニングの融合的存在であるGi(ギ)で、日本でもよく知られている。また、様々なモチーフでデザインされたアパレル群(Tシャツや、フーディー、キャップなど)は、不定期にweb上で更新され、そのそのウィットあるデザインと色彩感は、まさに LAを感じさせてくれるものである。過去には、DOVER STREET MARKET NEW YORKや、ONLINE CERAMICSなどとも協業しており、今後の展開にも目が離せない。またプロダクトのラインナップは、アパレルに止まらず、植木鉢、フレグランスやナンバープレートカバーまで多岐にわたる。次に何が出るのか、予想がつかない彼らの活動は、いつも創意工夫と意表をつくようなユニークなアイデアに彩られている。

今回、CACTUS STOREとして日本で初めてのコラボレーションとなる"CACTUS STORE AT UNION TOKYO"の開催にあたり、この世界のエキスパートたちが集結した。Plnats Supportとして、創業90年を越える多肉植物専門店である鶴仙園(KAKUSEN-EN)を迎え、卓越した専門知識と世界中のカクタスフリークたちと深い交流を持ち、THE SUCCULENTIST®として知られる河野忠賢氏(KONO TADAYOSHI)が全体のキュレーションを務めた。

CACTUS STORE(以下、CS)の創業者の一人であるCarlos Morrera(カルロス モレーラ)に、ZOOMでのインタビューを行い、今回のコラボレーションの裏に潜む、様々なストーリーを紐解いていく。CSとも旧知の仲であり、今回のショウのキュレーションを行った、THE SUCCULENTIST®の河野忠賢をインタビュワーに迎えた、両者の対談を掲載する。






「CACTUS STOREのルーツ」

河野 忠賢(以下、K): Hi カルロス! 今年の夏に東京でセッションして以来ですね。この数ヶ月は今回のショウ(CACTUS STORE AT UNION TOKYO)のためにほぼ毎日連絡は取ってましたが。

Carlos Morrera(以下、C): Hi コーノ! 調子はどう?あるときはLAのスタジオから、あるときはジャマイカから、バタバタ毎日でした。

K : 今回一緒に仕事できて嬉しいです。早速ですが、まずはCACTUS STORE(以下CS)をスタートしたきっかけや、これまでのヒストリーを聞かせてもらえますか?

C : 2014年、僕の叔父のJohnny Morrera(ジョニー)とエコーパークの一角に出店したことに始まります。当時は店舗に店名を書いた看板さえもなかったんです。それをコミュニティの人達や地域のみんなが、いつの日からか自然と"CACTUS STORE"と呼ぶようになりました。サボテンを売っているから、カクタスストア=サボテン屋。



シンプルですね。叔父のジョニーは、あらゆる植物に精通していて、サボテンにもとりわけ詳しくて私が幼い頃から、色々なことを教えてくれたんです。私自身が、サボテンに興味を持ったのも、彼の影響が大きいと言えるでしょう。最初のカクタスストアでは、アメリカ中を探し回り、5ドルのビギナーカクタスからごくマニア向けの2,000ドルもするレアカクタスまで、いろんなサボテンを販売していました。そして、友人のカクタス仲間でもあったMax Martinや、Christian Cummingsも参加し、仲間も増えて盛り上がっていきました。その後、何度か移転して、今のアトウォーターにあるスタジオ・グリーンハウスにたどり着いたんです。今や、ここはベストプレイスですね。

K : "CACTUS STORE"の名付け親は、コミュニティ!。それは、とても素敵な話ですね。幼い頃のジョニーとの出会いをきっかけとして、カルロス自身の中に、サボテンという植物、生命に惹かれるものがあったんですね。

C : サボテンというのは、極限的な場所に生えています。例えば、ネバダ砂漠のような。ここでは、火星探査用ローバーの試験走行をしたぐらい。サボテンは、そういう過酷な場所に生えているんです。



K : 日本にも、"月世界"という名前で呼ばれるサボテン(エピテランサ属)があります。

C : Lunaticですね!そう、月面のような荒涼とした風景。でも、だからこそ、そこで生き抜いている彼らの姿は、とても洗練されていて、そうしたデザインに興味を引かれるんです。カクタスストアの存在意義というか、大事にしているモチーフもそこにあります。そういう植物の不思議や、美しさを、マニアたちだけの中ではなくて、世界に向けて伝えたいんです。

K : なるほど、それなら、その目論見は、大成功と言えますね。今回UNIONというビッグネームとのコラボレーションが実現したわけですが、過去にはDOVER STREET MARKET NYなどの、様々なブランドと一緒に仕事を経験してきたでしょう。お店を始めたとき、こういう展開を期待していましたか?

C : 全く想像もしていませんでした。ユニオンなんて、子供の頃から知っている存在ですし、ビッグファンです。まさか一緒に仕事をすることになるなんて思ってもいなかったですね。初めはサボテンを売って、たまに自分の好きなtシャツを作ってみたりしてただけなのに..笑。 ここまで私たちを連れてきてくれた、CACTUS & SUCCULENTSに感謝です。

K : 今みたいにカルチャーの世界でカクタス&サキュレントがメジャーになるずっと前から、活動していましたよね。その昔、インターネットの海をさまよっているとき、たまたまCSのwebにたどり着いて、IESのキャップが欲しくてメールを送ったんですが、SOLD OUTの返事がきてがっかりしたことを覚えています笑。

C : INTERNATIONAL EUPHORBIA SOCIETYのキャップ?それは、かなり初期の話ですね。ほとんど最初のプロダクト。あれはすごく、レア、です笑

K : CSのプロダクトには通底するデザインの世界観を感じられます。CSの一つの象徴的なプロダクトが、やはりTシャツだと思うのですが、あのグラフィックデザインは、カルロスが手がけていると聞きました。モチーフ選びのセンスや、それを落とし込んだユーモアに富んだデザインが素晴らしいと感じられるのですが、何かデザインの勉強をしていたのですか?

C : それはどうもありがとう。2014年にお店を始めた時が、ちょうど30歳ぐらいで、大学ではグラフィックの勉強をしていました。卒業後は、いくつか家具を扱ったり、色々と模索していましたが、結局クライアントワークがあまり好きになれなかったんです。それで、自分の好きなように、やりたいことをできる自分のお店を始めました。今は、CSの様々なデザインやグラフィックは、チームのみんなで作っています。皆が、それぞれの得意なテイスト、バックグラウンドを持っているので、案を出し合ったり、話し合って進めていますね。ここまで私たちを連れてきてくれた、CACTUS & SUCCULENTSに感謝ですね。






「アメリカのカクタスクラブカルチャー」

今回のUNION x CSコラボレーションでは、ダブルネームの特製テラコッタ(素焼き)植木鉢に加えて、特注デザインのアパレルが発表される。"BOOJUM STUDY GROUP"と呼ばれる、架空の多肉植物クラブをモチーフにしたフーディーとキャップが制作された。BOOJUM(ブージャム)は、フォークイエリアと呼ばれる、バハ・カリフォルニアを代表する象徴的な植物であり、近年世界的に大注目を集めている植物の仲間である。その他にも、多肉植物モチーフの贅沢な刺繍をあしらったロングスリーブTシャツ、そしてラフレシアなどのCorpse flower(腐生植物)モチーフとした人気のTAXA(分類群)シリーズがラインナップされた。インタビューでは、今回使われた様々な植物モチーフの背景について掘り下げていく。

K : 今回のコラボにあたって、まず最初に決めたのがUNION x CSのスペシャルコラボロゴでした。いくつかの案が出ましたが、CSのバタフライロゴと、UNIONのフロントマンをフュージョンさせたデザイン。蝶々の羽を生やして跳ぶ(飛ぶ)フロントマン。これしかない、というデザインになったと思います。そもそも、CSのバタフライロゴは、なぜ"蝶々"をモチーフにしているのでしょうか?

C : 実は、CSのピクチャーロゴは、いくつかあるんです。時によって魚のモチーフだったりと、これといった固定のロゴは、実はないんです。でも蝶々というのは、植物や園芸にとても関わりの深い存在でしょう。植物と植物の間を行き来する、象徴的な存在です。それに、フロントマンとのフュージョンを考えた時、これ以上のものはないですからね。

K : なるほどです。

C : Flying。最高にクールですよね。





K : 続けて、TAXA Teeの話を聞かせてもらえますか?

C : テーマは「腐生植物」です。多肉植物の中にも、臭い花を咲かせて、ハエを呼び寄せるものがいるのです。受粉、つまり子孫繁栄の戦略です。スタペリアや、カラルマといった種類に代表されるような。グロテスクなビジュアルの花を咲かせるものが多いのですが、よく見るとその花弁の質感は美しいベルベットの質感だったりするんです。

K : 有名なところで言えば、ラフレシアやコンニャクの仲間(ダイオウコンニャク)もそうですよね。植物園でも開花があるとニュースになったり。それだけ面白いビジュアルと、生態を持った植物ということですね。



C : そうです。それから今回の目玉は、なんと言ってもBOOJUM STUDY GROUP(以下、BSJ)のシリーズでしょう。フーディとキャップをデザインしました。Boojum(ブージャム)というのは、バハカリフォルニアに生息する、電柱のように背の高く育つ、Fouquieria columnaris(フォークイエリア コルムナリス)という奇妙な植物です。BSJというのは、いわば、"ブージャム研究会"、とでもいうのでしょうか。ブージャムの仲間を愛好する様々な人間が集まって、作り上げたクラブ...という設定です。実際には存在しない、架空のクラブ。でも、実際にあっても、おかしくない。そういうクラブが作ったマーチのような、そういうアイテムになっています。



K : クラブカルチャー..、と言っても、私たちが話しているのは、DJと音楽を楽しむ"クラブ"ではなく、”カクタスクラブ"のことですけど。実際、植物の世界では、マイナーでローカルな少人数の集まりから国際的でメジャーなものまで、大小様々のクラブが活動しています。

C : こうしていろんなSNSや、そもそもインターネットがなかった時代には、クラブに参加しないと情報が得られなかったんです。今は、そこにいかなくても、IGやwebで簡単に情報は得られる時代になりました。それでも、そこでの交流や、リアルな付き合いに、かけがえのない大事なものがあると思うんです。会の高齢化が進んで、地域のクラブや、会の集まりみたいなものは昔のように勢いがない。若い人たちは、馴染みがない。そういうクラブカルチャーをサポートしたり、たち消えていくことのないようにしたいとも思っています。

K : チャリティー、ではなくサポート。

C : 利益追求とは遠いところで、ある種の熱意に支えられて、自然発生的に生まれる人々の集まり。そういうものこそが、カルチャーにとって大事だと思うんです。日本にも、古いカクタスクラブがあるんでしょう?そういうのも気になっています。世界中のカクタス アンド サキュレントフリークたちと、ギークアウトしたいですね。






「コミュニティを支えるレジェンドたち」

今回のショウでは、特注のコラボだけではなく、過去にCSが発表したtシャツの中から、今回のコラボレーションのためだけに厳選されたリプリントも製作された。決して、同じものの単なる焼き増しはせず、シルクスクリーンの一部の色を変更し、またシャツボディの色変えによって、今回だけのオリジナルな一枚となっている。タグには、もちろんCS x UNIONのフュージョンロゴが添えられた、今回だけのスペシャルアイテムである。

C : 過去に私たちCSがオファーしてきたシャツのデザインから、いくつかリプリントのリクエストをいただきましたね。いくつかの候補の中から、最終的にCACTUS DATA PLANTSのグラキリスと、GORDONのメセンフラワーの2型を作ることに決めました。

K : 日本では、グラキリスは大人気の植物ですから、外せないものでした。

C : オリジナルのものは、シルバーグリッター(ラメ)で球体部分をシルク印刷していたんですが、コーノさんとディスカッションして出たゴールドに変えるアイデアは最高でしたね。実際のグラキリスにも、たまに肌色が金色っぽいものがありますから!これは今回、日本のためだけのスペシャルバージョンなので、他所では二度と同じリプリントはしません笑 エクスクルーシブな一枚です。



K : このシャツのデザインについて、もう少し掘り下げてみようと思うのですが、実はこれには真のオリジナルというべきシャツがあるんでしょう。アメリカの多肉界を語る上で外せないレジェンドの一人、ウッディについて話していただけますか?

C : Woody Munich(ウッデイ ミニク)。彼は、今のアメリカ多肉植物界の先駆けのような、リアルレジェンドの一人です。多くの自生地を旅して、その知識と、知恵をみんなに分け与えてきたんです。僕らの本、XEROPHILLEにもたくさん写真を使わせてもらっています。彼は、アメリカのサボテン・多肉植物のコミュニティにずっと貢献してきた一人ですね。

C : 自然に、植物に、”捧げてきた”人たち、それを私たちは自然と"レジェンド"って敬愛を込めて言ったりするわけですよね。そういう存在って、無為なものというか、狙ってやるものではなく、いつの間にか、周りが誰もがそうだっていう存在。Steven Hammerや、Woody Munich、Steve Brack..、彼らのあり方は、本当に格好良いと思えます。彼らには、明確なスタイルがあるし、それは狙ったものではなく、自然と出来上がっていくもの。彼らの生き方そのものなんです。それがスタイルとして、明確に顕現している。Fakeじゃない。つまり、簡単に"レジェンド"にはなれないということ笑 スターにはなれても。

K : 本当に、そうですね。



C : CACTUS DATA PLANTSというのは、彼がやっていたナーセリーの名前です。そう、それで、このシャツは、ウッディが、クラブが主催する年一回の大きなショウのために、手描きの原画を描き下ろして、当日会場で販売していたtシャツがオリジナルなんです。だから、元々はカクタスクラブのショウで、マーチ的に販売されていたもの、ということですね。

K : アメリカには、そういうマーチ文化というか、根付いていますよね。日本のクラブでそういうことをしているのは、皆無ですから。

C : こういうスタイルのtシャツというのは、私たちからすると、すごくクラシックというか、ある意味、古風なデザインでもあるんだ。もちろんそれを愛していますけれどね。

K : LAからみた日本、日本からみたLA。私たちからすると、自分達の周りにありふれてるもの、日本のデザインは、芋っぽい、ダサいとか思ってしまうことがあります。でも、海の向こうからみたら、かえってそれが新鮮で何かクールなものに見えたりする。LAからしたら、これはオールドスクールなデザインだ、と思えるものが、日本にはなかったとても格好良いグラフィックに見えたりするわけです。

C: お互い様、ですね。

K : CSがオファーするプロダクトには、これまでに積み重ねられてきた先人や名もなきギークたちへの敬意が感じられます。単なるグラフィックというわけではなくて、その背景がきちんとある。それは、間違いなく感じられること。しかもそれが、こうしてファッションの世界で受け入れられつつあるというのは、とても意味のあることだと思いませんか。

C : サボテンや多肉植物というものが、市民権を得て、老人たちのささやかな趣味ではなくて、クールなものとして若い世代に受け入れられ始めてる。これは、とんでもなくすごいことだし、一つの時代の大きな変化だと感じています。

K : カクタスや多肉植物は、今やマイナーでギークなだけのモチーフじゃない。

C : まさにそういうこと。



「CSの今後、アーキテクチャーへの挑戦」

今回のショウでは、UNION TOKYOの店舗内に、温室のフレームを建ててインスタレーションが作られる。近年CSの興味関心は、こうした空間作りにも広がってきており、アパレルにとどまらず、造園やアーキテクチャーの分野にも挑戦している。これまでにもミュージシャンのジョン・メイヤーの私邸や、YSLのウィンドウディスプレイなど、多くの依頼をこなしてきた。またカルロスのパートナーであるSofia Londonoは、アーキテクチャーアーティストである。アトウォーターのスタジオ・グリーンハウス内には、彼女の作品である、陶製の緑壁が設置されており、Silver Magazineでも紹介された。植物細胞をモチーフにした壁画作品は、誰の目にも鮮やかである。CACTUS STORE AT UNION TOKYOにおけるインスタレーションのコンセプトと、今後控えている日本での活動についても聞いていく。

C : インスタレーションの大きなテーマは、'Real Grower is Here.' 。UNION TOKYOの店内の他の部分とは、全く違う空間にしたかったですね。実物を見れないのが残念です。コーノさんが用意してくれたプロップ類を見させてもらいましたが、どれも本当に素晴らしい。本当に使われている道具類を用意してもらって、まるで本当にグローワー(愛好家)がそこに居るようなリアリティが感じられました。ここで、ステージング(植え込み)作業や、交配、実生をしたりしている様が目に浮かぶようです。

K : 日本の酒箱を積み上げた作業台など、カルロスさんに特にリクエストをもらって準備したものもありますし、日本の要素と、LAの要素をミックスした空間にしたかったですね。CSのスタジオの壁面の、フライヤーや資料が壁を埋め尽くしている感じは、必ず織り込みたかったイメージでした。

C : プロップの一つ一つに背景があるので、それを一つ一つ見ていくのも間違いなく楽しい体験になるでしょうね。今回お願いしたインスタレーションにあたっては、Nasty(ナスティ:薄汚れた)というのが一つのキーワードになっていました。一件混沌とした中に、洗練が共存しているような..笑

K : フランシス・ベーコンのアトリエのような..笑

C : まさに!笑 使い込まれた道具や、何に使うの?というような雑多なもの、そういうところに、その人の世界が現れるものなんです。完成を楽しみにしています。



K : 今回、UNION TOKYOとの仕事が、日本でのコラボレーションとしては初めてのことだったと思いますが、今後、何か日本での面白いアイデアやプロジェクトを考えていたりするのでしょうか。

C : 実は、熱海にある有名建築の庭園設計に関わるプロジェクトが進んでいます。

K : それは、随分大きな話ですね。カルロスさんのパートナーであるソフィアさんもアーキテクチャーアーティストですが、カルロスさん自身、建築にも興味をお持ちなんですか。

C : 建築のデザインや空間づくりには、ずっと興味を持っていました。アメリカ国内では、これまでにいくつも造園設計の仕事をこなしてきましたが、国外でのこうした仕事は初めての経験です。場所も違えば、気候も違う。リサーチを重ねて、仲間と共に良いものを目指していくつもりです。

K : それは楽しみです。待ちきれないですね。

C : ありがとうございます。

K : それではまた。






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CACTUS STORE(カクタスストア)、"HOT CACTUS"の愛称で親しまれるLAのブランド。文字通り、”ホット”な活動で、飽きさせない、唯一無二の存在である。その名の通り、多肉植物・サボテンという植物をモチーフに様々なプロダクトを発表している。数多くの多肉植物・サボテンの自生地写真と共に、海外の多肉植物界のレジェンド達のインタビューを掲載した本”XEROPHILE(ゼロフィル)” や、柔術着とカクタス・ガーデニングの融合的存在であるGi(ギ)で、日本でもよく知られている。また、様々なモチーフでデザインされたアパレル群(Tシャツや、フーディー、キャップなど)は、不定期にweb上で更新され、そのそのウィットあるデザインと色彩感は、まさに LAを感じさせてくれるものである。過去には、DOVER STREET MARKET NEW YORKや、ONLINE CERAMICSなどとも協業しており、今後の展開にも目が離せない。またプロダクトのラインナップは、アパレルに止まらず、植木鉢、フレグランスやナンバープレートカバーまで多岐にわたる。次に何が出るのか、予想がつかない彼らの活動は、いつも創意工夫と意表をつくようなユニークなアイデアに彩られている。

今回、CACTUS STOREとして日本で初めてのコラボレーションとなる"CACTUS STORE AT UNION TOKYO"の開催にあたり、この世界のエキスパートたちが集結した。Plnats Supportとして、創業90年を越える多肉植物専門店である鶴仙園(KAKUSEN-EN)を迎え、卓越した専門知識と世界中のカクタスフリークたちと深い交流を持ち、THE SUCCULENTIST®として知られる河野忠賢氏(KONO TADAYOSHI)が全体のキュレーションを務めた。

CACTUS STORE(以下、CS)の創業者の一人であるCarlos Morrera(カルロス モレーラ)に、ZOOMでのインタビューを行い、今回のコラボレーションの裏に潜む、様々なストーリーを紐解いていく。CSとも旧知の仲であり、今回のショウのキュレーションを行った、THE SUCCULENTIST®の河野忠賢をインタビュワーに迎えた、両者の対談を掲載する。





「CACTUS STOREのルーツ」

河野 忠賢(以下、K): Hi カルロス! 今年の夏に東京でセッションして以来ですね。この数ヶ月は今回のショウ(CACTUS STORE AT UNION TOKYO)のためにほぼ毎日連絡は取ってましたが。

Carlos Morrera(以下、C): Hi コーノ! 調子はどう?あるときはLAのスタジオから、あるときはジャマイカから、バタバタ毎日でした。

K : 今回一緒に仕事できて嬉しいです。早速ですが、まずはCACTUS STORE(以下CS)をスタートしたきっかけや、これまでのヒストリーを聞かせてもらえますか?

C : 2014年、僕の叔父のJohnny Morrera(ジョニー)とエコーパークの一角に出店したことに始まります。当時は店舗に店名を書いた看板さえもなかったんです。それをコミュニティの人達や地域のみんなが、いつの日からか自然と"CACTUS STORE"と呼ぶようになりました。サボテンを売っているから、カクタスストア=サボテン屋。



シンプルですね。叔父のジョニーは、あらゆる植物に精通していて、サボテンにもとりわけ詳しくて私が幼い頃から、色々なことを教えてくれたんです。私自身が、サボテンに興味を持ったのも、彼の影響が大きいと言えるでしょう。最初のカクタスストアでは、アメリカ中を探し回り、5ドルのビギナーカクタスからごくマニア向けの2,000ドルもするレアカクタスまで、いろんなサボテンを販売していました。そして、友人のカクタス仲間でもあったMax Martinや、Christian Cummingsも参加し、仲間も増えて盛り上がっていきました。その後、何度か移転して、今のアトウォーターにあるスタジオ・グリーンハウスにたどり着いたんです。今や、ここはベストプレイスですね。

K : "CACTUS STORE"の名付け親は、コミュニティ!。それは、とても素敵な話ですね。幼い頃のジョニーとの出会いをきっかけとして、カルロス自身の中に、サボテンという植物、生命に惹かれるものがあったんですね。

C : サボテンというのは、極限的な場所に生えています。例えば、ネバダ砂漠のような。ここでは、火星探査用ローバーの試験走行をしたぐらい。サボテンは、そういう過酷な場所に生えているんです。



K : 日本にも、"月世界"という名前で呼ばれるサボテン(エピテランサ属)があります。

C : Lunaticですね!そう、月面のような荒涼とした風景。でも、だからこそ、そこで生き抜いている彼らの姿は、とても洗練されていて、そうしたデザインに興味を引かれるんです。カクタスストアの存在意義というか、大事にしているモチーフもそこにあります。そういう植物の不思議や、美しさを、マニアたちだけの中ではなくて、世界に向けて伝えたいんです。

K : なるほど、それなら、その目論見は、大成功と言えますね。今回UNIONというビッグネームとのコラボレーションが実現したわけですが、過去にはDOVER STREET MARKET NYなどの、様々なブランドと一緒に仕事を経験してきたでしょう。お店を始めたとき、こういう展開を期待していましたか?

C : 全く想像もしていませんでした。ユニオンなんて、子供の頃から知っている存在ですし、ビッグファンです。まさか一緒に仕事をすることになるなんて思ってもいなかったですね。初めはサボテンを売って、たまに自分の好きなtシャツを作ってみたりしてただけなのに..笑。 ここまで私たちを連れてきてくれた、CACTUS & SUCCULENTSに感謝です。

K : 今みたいにカルチャーの世界でカクタス&サキュレントがメジャーになるずっと前から、活動していましたよね。その昔、インターネットの海をさまよっているとき、たまたまCSのwebにたどり着いて、IESのキャップが欲しくてメールを送ったんですが、SOLD OUTの返事がきてがっかりしたことを覚えています笑。

C : INTERNATIONAL EUPHORBIA SOCIETYのキャップ?それは、かなり初期の話ですね。ほとんど最初のプロダクト。あれはすごく、レア、です笑

K : CSのプロダクトには通底するデザインの世界観を感じられます。CSの一つの象徴的なプロダクトが、やはりTシャツだと思うのですが、あのグラフィックデザインは、カルロスが手がけていると聞きました。モチーフ選びのセンスや、それを落とし込んだユーモアに富んだデザインが素晴らしいと感じられるのですが、何かデザインの勉強をしていたのですか?

C : それはどうもありがとう。2014年にお店を始めた時が、ちょうど30歳ぐらいで、大学ではグラフィックの勉強をしていました。卒業後は、いくつか家具を扱ったり、色々と模索していましたが、結局クライアントワークがあまり好きになれなかったんです。それで、自分の好きなように、やりたいことをできる自分のお店を始めました。今は、CSの様々なデザインやグラフィックは、チームのみんなで作っています。皆が、それぞれの得意なテイスト、バックグラウンドを持っているので、案を出し合ったり、話し合って進めていますね。ここまで私たちを連れてきてくれた、CACTUS & SUCCULENTSに感謝ですね。




「アメリカのカクタスクラブカルチャー」

今回のUNION x CSコラボレーションでは、ダブルネームの特製テラコッタ(素焼き)植木鉢に加えて、特注デザインのアパレルが発表される。"BOOJUM STUDY GROUP"と呼ばれる、架空の多肉植物クラブをモチーフにしたフーディーとキャップが制作された。BOOJUM(ブージャム)は、フォークイエリアと呼ばれる、バハ・カリフォルニアを代表する象徴的な植物であり、近年世界的に大注目を集めている植物の仲間である。その他にも、多肉植物モチーフの贅沢な刺繍をあしらったロングスリーブTシャツ、そしてラフレシアなどのCorpse flower(腐生植物)モチーフとした人気のTAXA(分類群)シリーズがラインナップされた。インタビューでは、今回使われた様々な植物モチーフの背景について掘り下げていく。

K : 今回のコラボにあたって、まず最初に決めたのがUNION x CSのスペシャルコラボロゴでした。いくつかの案が出ましたが、CSのバタフライロゴと、UNIONのフロントマンをフュージョンさせたデザイン。蝶々の羽を生やして跳ぶ(飛ぶ)フロントマン。これしかない、というデザインになったと思います。そもそも、CSのバタフライロゴは、なぜ"蝶々"をモチーフにしているのでしょうか?

C : 実は、CSのピクチャーロゴは、いくつかあるんです。時によって魚のモチーフだったりと、これといった固定のロゴは、実はないんです。でも蝶々というのは、植物や園芸にとても関わりの深い存在でしょう。植物と植物の間を行き来する、象徴的な存在です。それに、フロントマンとのフュージョンを考えた時、これ以上のものはないですからね。

K : なるほどです。

C : Flying。最高にクールですよね。



K : 続けて、TAXA Teeの話を聞かせてもらえますか?

C : テーマは「腐生植物」です。多肉植物の中にも、臭い花を咲かせて、ハエを呼び寄せるものがいるのです。受粉、つまり子孫繁栄の戦略です。スタペリアや、カラルマといった種類に代表されるような。グロテスクなビジュアルの花を咲かせるものが多いのですが、よく見るとその花弁の質感は美しいベルベットの質感だったりするんです。

K : 有名なところで言えば、ラフレシアやコンニャクの仲間(ダイオウコンニャク)もそうですよね。植物園でも開花があるとニュースになったり。それだけ面白いビジュアルと、生態を持った植物ということですね。



C : そうです。それから今回の目玉は、なんと言ってもBOOJUM STUDY GROUP(以下、BSJ)のシリーズでしょう。フーディとキャップをデザインしました。Boojum(ブージャム)というのは、バハカリフォルニアに生息する、電柱のように背の高く育つ、Fouquieria columnaris(フォークイエリア コルムナリス)という奇妙な植物です。BSJというのは、いわば、"ブージャム研究会"、とでもいうのでしょうか。ブージャムの仲間を愛好する様々な人間が集まって、作り上げたクラブ...という設定です。実際には存在しない、架空のクラブ。でも、実際にあっても、おかしくない。そういうクラブが作ったマーチのような、そういうアイテムになっています。



K : クラブカルチャー..、と言っても、私たちが話しているのは、DJと音楽を楽しむ"クラブ"ではなく、”カクタスクラブ"のことですけど。実際、植物の世界では、マイナーでローカルな少人数の集まりから国際的でメジャーなものまで、大小様々のクラブが活動しています。

C : こうしていろんなSNSや、そもそもインターネットがなかった時代には、クラブに参加しないと情報が得られなかったんです。今は、そこにいかなくても、IGやwebで簡単に情報は得られる時代になりました。それでも、そこでの交流や、リアルな付き合いに、かけがえのない大事なものがあると思うんです。会の高齢化が進んで、地域のクラブや、会の集まりみたいなものは昔のように勢いがない。若い人たちは、馴染みがない。そういうクラブカルチャーをサポートしたり、たち消えていくことのないようにしたいとも思っています。

K : チャリティー、ではなくサポート。

C : 利益追求とは遠いところで、ある種の熱意に支えられて、自然発生的に生まれる人々の集まり。そういうものこそが、カルチャーにとって大事だと思うんです。日本にも、古いカクタスクラブがあるんでしょう?そういうのも気になっています。世界中のカクタス アンド サキュレントフリークたちと、ギークアウトしたいですね。




「コミュニティを支えるレジェンドたち」

今回のショウでは、特注のコラボだけではなく、過去にCSが発表したtシャツの中から、今回のコラボレーションのためだけに厳選されたリプリントも製作された。決して、同じものの単なる焼き増しはせず、シルクスクリーンの一部の色を変更し、またシャツボディの色変えによって、今回だけのオリジナルな一枚となっている。タグには、もちろんCS x UNIONのフュージョンロゴが添えられた、今回だけのスペシャルアイテムである。

C : 過去に私たちCSがオファーしてきたシャツのデザインから、いくつかリプリントのリクエストをいただきましたね。いくつかの候補の中から、最終的にCACTUS DATA PLANTSのグラキリスと、GORDONのメセンフラワーの2型を作ることに決めました。

K : 日本では、グラキリスは大人気の植物ですから、外せないものでした。

C : オリジナルのものは、シルバーグリッター(ラメ)で球体部分をシルク印刷していたんですが、コーノさんとディスカッションして出たゴールドに変えるアイデアは最高でしたね。実際のグラキリスにも、たまに肌色が金色っぽいものがありますから!これは今回、日本のためだけのスペシャルバージョンなので、他所では二度と同じリプリントはしません笑 エクスクルーシブな一枚です。



K : このシャツのデザインについて、もう少し掘り下げてみようと思うのですが、実はこれには真のオリジナルというべきシャツがあるんでしょう。アメリカの多肉界を語る上で外せないレジェンドの一人、ウッディについて話していただけますか?

C : Woody Munich(ウッデイ ミニク)。彼は、今のアメリカ多肉植物界の先駆けのような、リアルレジェンドの一人です。多くの自生地を旅して、その知識と、知恵をみんなに分け与えてきたんです。僕らの本、XEROPHILLEにもたくさん写真を使わせてもらっています。彼は、アメリカのサボテン・多肉植物のコミュニティにずっと貢献してきた一人ですね。

C : 自然に、植物に、”捧げてきた”人たち、それを私たちは自然と"レジェンド"って敬愛を込めて言ったりするわけですよね。そういう存在って、無為なものというか、狙ってやるものではなく、いつの間にか、周りが誰もがそうだっていう存在。Steven Hammerや、Woody Munich、Steve Brack..、彼らのあり方は、本当に格好良いと思えます。彼らには、明確なスタイルがあるし、それは狙ったものではなく、自然と出来上がっていくもの。彼らの生き方そのものなんです。それがスタイルとして、明確に顕現している。Fakeじゃない。つまり、簡単に"レジェンド"にはなれないということ笑 スターにはなれても。

K : 本当に、そうですね。



C : CACTUS DATA PLANTSというのは、彼がやっていたナーセリーの名前です。そう、それで、このシャツは、ウッディが、クラブが主催する年一回の大きなショウのために、手描きの原画を描き下ろして、当日会場で販売していたtシャツがオリジナルなんです。だから、元々はカクタスクラブのショウで、マーチ的に販売されていたもの、ということですね。

K : アメリカには、そういうマーチ文化というか、根付いていますよね。日本のクラブでそういうことをしているのは、皆無ですから。

C : こういうスタイルのtシャツというのは、私たちからすると、すごくクラシックというか、ある意味、古風なデザインでもあるんだ。もちろんそれを愛していますけれどね。

K : LAからみた日本、日本からみたLA。私たちからすると、自分達の周りにありふれてるもの、日本のデザインは、芋っぽい、ダサいとか思ってしまうことがあります。でも、海の向こうからみたら、かえってそれが新鮮で何かクールなものに見えたりする。LAからしたら、これはオールドスクールなデザインだ、と思えるものが、日本にはなかったとても格好良いグラフィックに見えたりするわけです。

C : お互い様、ですね。

K : CSがオファーするプロダクトには、これまでに積み重ねられてきた先人や名もなきギークたちへの敬意が感じられます。単なるグラフィックというわけではなくて、その背景がきちんとある。それは、間違いなく感じられること。しかもそれが、こうしてファッションの世界で受け入れられつつあるというのは、とても意味のあることだと思いませんか。

C : サボテンや多肉植物というものが、市民権を得て、老人たちのささやかな趣味ではなくて、クールなものとして若い世代に受け入れられ始めてる。これは、とんでもなくすごいことだし、一つの時代の大きな変化だと感じています。

K : カクタスや多肉植物は、今やマイナーでギークなだけのモチーフじゃない。

C : まさにそういうこと。



「CSの今後、アーキテクチャーへの挑戦」

今回のショウでは、UNION TOKYOの店舗内に、温室のフレームを建ててインスタレーションが作られる。近年CSの興味関心は、こうした空間作りにも広がってきており、アパレルにとどまらず、造園やアーキテクチャーの分野にも挑戦している。これまでにもミュージシャンのジョン・メイヤーの私邸や、YSLのウィンドウディスプレイなど、多くの依頼をこなしてきた。またカルロスのパートナーであるSofia Londonoは、アーキテクチャーアーティストである。アトウォーターのスタジオ・グリーンハウス内には、彼女の作品である、陶製の緑壁が設置されており、Silver Magazineでも紹介された。植物細胞をモチーフにした壁画作品は、誰の目にも鮮やかである。CACTUS STORE AT UNION TOKYOにおけるインスタレーションのコンセプトと、今後控えている日本での活動についても聞いていく。

C : インスタレーションの大きなテーマは、'Real Grower is Here.' 。UNION TOKYOの店内の他の部分とは、全く違う空間にしたかったですね。実物を見れないのが残念です。コーノさんが用意してくれたプロップ類を見させてもらいましたが、どれも本当に素晴らしい。本当に使われている道具類を用意してもらって、まるで本当にグローワー(愛好家)がそこに居るようなリアリティが感じられました。ここで、ステージング(植え込み)作業や、交配、実生をしたりしている様が目に浮かぶようです。

K : 日本の酒箱を積み上げた作業台など、カルロスさんに特にリクエストをもらって準備したものもありますし、日本の要素と、LAの要素をミックスした空間にしたかったですね。CSのスタジオの壁面の、フライヤーや資料が壁を埋め尽くしている感じは、必ず織り込みたかったイメージでした。

C : プロップの一つ一つに背景があるので、それを一つ一つ見ていくのも間違いなく楽しい体験になるでしょうね。今回お願いしたインスタレーションにあたっては、Nasty(ナスティ:薄汚れた)というのが一つのキーワードになっていました。一件混沌とした中に、洗練が共存しているような..笑

K : フランシス・ベーコンのアトリエのような..笑

C : まさに!笑 使い込まれた道具や、何に使うの?というような雑多なもの、そういうところに、その人の世界が現れるものなんです。完成を楽しみにしています。



K : 今回、UNION TOKYOとの仕事が、日本でのコラボレーションとしては初めてのことだったと思いますが、今後、何か日本での面白いアイデアやプロジェクトを考えていたりするのでしょうか。

C : 実は、熱海にある有名建築の庭園設計に関わるプロジェクトが進んでいます。

K : それは、随分大きな話ですね。カルロスさんのパートナーであるソフィアさんもアーキテクチャーアーティストですが、カルロスさん自身、建築にも興味をお持ちなんですか。

C : 建築のデザインや空間づくりには、ずっと興味を持っていました。アメリカ国内では、これまでにいくつも造園設計の仕事をこなしてきましたが、国外でのこうした仕事は初めての経験です。場所も違えば、気候も違う。リサーチを重ねて、仲間と共に良いものを目指していくつもりです。

K : それは楽しみです。待ちきれないですね。

C : ありがとうございます。

K : それではまた。




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