KNOW THE LEDGE / MUSIC BREAK - SAM WILKES & JACOB MANN

UNIONを構成する様々な要素、そのなかでも音楽にフォーカスして、この場所から拡がるカルチャーを捉え紹介していく連載「KNOW THE LEDGE / MUSIC BREAK」。今回はルイス・コールとの共演でも知られる、ベーシスト/コンポーザーのサム・ウィルクスと、ピアニスト/キーボーディストのジェイコブ・マンのデュオを取り上げたい。彼らは10月25日から来日ツアーをスタートさせる予定だ。




サム・ウィルクスとジェイコブ・マン。南カリフォルニア大学の学生時代に出会ったという2人による珠玉のアンビエントジャズアルバム『Perform the Compositions of Sam Wilkes & Jacob Mann』は、LAを拠点とするレーベル「Leaving Records」から2022年にリリースされた。2人のユニークな音楽性を紐解いていく時、まずはこのレーベルが糸口となる。

「Leaving Records」は、LAのアンビエント/ニューエイジ・シーンを牽引するミュージシャンのマシューデイヴィッドと当時の彼のパートナーによって、2008年にインターネットのブログサイトからスタートした。取り扱う音楽はずばりオールジャンル。ジュリア・ホルター、ララージ、バウハウス、サム・ゲンデル、この連載でも過去に取り上げたジョン・キャロル・カービー、2019年に惜しくもこの世を去ったラス・G、そしてLAの伝説的なインディペンデント音楽レーベル「Anticon」の共同設立者であるオッド・ノスダムなど。これまでにリリースしてきたアーティストのラインナップが、その多彩さと、確かな審美眼を示している。また、このレーベルが2012〜2020年まで「Stones Throw Records」の傘下にあったことも覚えておかなくてはいけない。「Stones Throw Records」とUNIONは、ともに長きに渡りLAカルチャーを牽引し続ける盟友同士。今年7月にはコラボコレクションもリリースした。そうしたコミュニティのすぐ側で、より自由に、瞑想的に、独自の進化を遂げているのが「Leaving Records」なのだ。

そんな同レーベルは、LAのエリジアン・パークにあるモンテチッロ・デ・レオ・ポリッティという場所で「Listen to Music Outside in the Daylight Under a Tree」という寄付制の野外ライブイベントを定期的に開催している。直訳すれば「木漏れ日のなかで音楽を聴こう」だろうか。このイベント名と、サム・ウィルクスとジェイコブ・マンの2人に直接的な関係はない。それに2人はまだこのイベントに出演もしていない。それでもこの言葉が、彼らの音楽を何より的確に言い表しているように思えてならない。夜通し遊んで踊り疲れた朝、公園の芝生に寝そべり木漏れ日を浴びるような……。『Perform the Compositions of Sam Wilkes & Jacob Mann』の音像は、LAのアンダーグラウンドな音楽シーンならではの尖った実験性を内に秘めながら、同時にリスナーをどこまでも優しく包み込んでくれる。

もうひとつ、2人を説明する際に欠かせないのがルイス・コールの存在だ。「Ninja Tune」や「Brainfeeder」に所属する超絶技巧のドラマー、シンガーソングライター、そしてプロデューサー。盟友サンダーキャットのサポートとしても、自身名義のビッグバンドとしても、これまで幾度となく来日している。そんな彼がボーカリストのジェネヴィーヴ・アルターディと組んだデュオ・プロジェクト「KNOWER」のサポートメンバーとして、サム・ウィルクスとジェイコブ・マンはともに参加しているのだ。2018年に行われた同ユニットの初来日公演にも帯同していた。「KNOWER」についてさらに言うと、東京の立川ステージガーデンで昨年開催されたライブイベント「FESTIVAL FRUEZINHO」にサム・ウィルクスとのデュオとして出演したサックスプレイヤーのサム・ゲンデルもまた、このプロジェクトで演奏している。ルイス・コール恐るべし。才能を見つける早さと正確さ、ハブとしての求心力、そして個々のプレイをエキセントリックに飛躍させる自由奔放な音楽性、そのすべてにおいて。

「KNOWER」のメンバーとして来日はしているものの、2人名義では今回のビルボード公演が日本での初ライブとなる。プレイリストのほとんどを占めるであろう『Perform the Compositions of Sam Wilkes & Jacob Mann』の楽曲は、サム・ウィルクスが住むアパートの一室で互いのインスピレーションを爆発させながら、わずか4〜5日でレコーディングされたという。ライブでもきっと、そうしたミニマルで濃密なドリーミー・アンビエント・ジャズセッションが繰り広げられるはずだ。思う存分、浴びに行こう。木漏れ日が降り注ぐ秋晴れの公園へと向かう気持ちで。


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