個性豊かなブランドが肩を並べるUNION TOKYOのラインナップの中でも、ファンクショナルとファッションの新たなるクロスオーバーの形として、ひと際の異彩を放つDAIWA PIER 39。言わずもがな、世界的なシェアを誇る日本発の釣具「DAIWA」のアパレルラインである。そんな他ブランドとは一線を画す特異な出自を持ちながらもUNIONはじめ多くのファッション関係者から高いプロップスを得る、DAIWA PIER 39のデザインチームリーダーにインタビューを敢行。
―DAIWA PIER 39設立のきっかけ、目的を教えてください。
元々DAIWAのアパレルラインは存在していたんですが、やはり釣具としてのギアウェアという認知のほうが強かったんですよね。そういった中で、今から5〜6年前くらいに、フェスやキャンプに参加する感度の高い方々の間で、フィッシングベストなど機能的なフィッシングギアを取り入れたスタイリングがにわかにブームになったんです。そしてそれがもう少し一般的なファッションカルチャーの領域にまで広がったタイミングで、DAIWAとしても、これまでと違う角度から若年層に釣りというカルチャーを広めるチャンスであると同時に、その必要性を強く感じ、2020年の春夏にデビューしました。なので根本的には、あくまで釣りというカルチャーを広めるためであり、今までとは違った視点からファン層を拡大するためのプロジェクトの一貫だと捉えています。
―具体的に、これまでのDAIWAアパレルとはどのように差異をつけていますか?
まずは、DAIWAが培ってきたファンクショナルな側面と、よりコアなファッションの領域をかけ合わせるということが大前提。だけど僕たちのデザインチームではそのための出発点を、既存のパフォーマンス系のファッションアパレルとは180°逆の位置からアプローチしています。つまり、釣りのためのカッコいい服を作るのではなく、釣りもできるファッションアパレルを作る。そうすることで、既存のDAIWAアパレルだけではなく、他ブランドと比べても特徴的な差異が生み出せると考えています。例えば、1stシーズンから作っているセットアップのラペルジャケット。外観はゆったり目な2つボタンのジャケットなんですが、前を開くと、中に釣りに適したポケットがたくさんついている。今までの釣りウェアでは、当然外側に配置されていたポケットを内側に忍ばせることで、タウンユースアパレルとしての完成度を高めたアイテムです。そういった釣りウェアとしての機能性を内に秘めるという点は、いつも意識していますね。
―使用する素材に基準やルールなどはありますか?
天然繊維は可能な限り使わないようにしています。やっぱりいつ濡れてもおかしくない釣りの現場での機能性を考えると、天然繊維よりも化学繊維の方にメリットがありますからね。それはもちろん生地だけでなく、例えばジッパーやボタンも、錆びることのないプラスチックを使っていたり。とはいえデザインの方向性をファンクショナルに振ってしまうと既存のDAIWAアパレルに似てきてしまうので、ルックス的には、ミリタリーやクラシックアウトドアなど、機能性を備えたベーシックなアメカジを目指しています。見た目はヘリテージでクラシックなんだけど、触ってみたらハイテク。その点が通常のアウトドア系ウェアと逆行しているところであり、DAIWA PIER 39最大のストロングポイントと言えるのではないでしょうか。
―ボックスシルエットが印象的ですが、理由やイメージソースはありますか?
現状、そういうイメージが付いてしまっていることは否めないのですが、実は僕らとしては、サイズ感をブランドのアイコンにはしたくないと思っています。今のそれはあくまで、ファッションアパレルとしてのエッジを追求した結果なんです。なぜなら釣りのファン層を広げるというミッションを持ったDAIWA PIER 39としては、先ほどお伝えしたブランドのコアとなる考え方はブレさせずに、それ以外の部分では、その時々のトレンドにフィットしたブランドであるべきだと考えています。なので今後ファッション業界のトレンドがタイトなフィット感に移っていくなら、僕たちも、そういう風になっていく可能性は充分にありえますし、実際、最近はスリムシルエットのパンツなどもリリースしているんですよ。シルエットのコンパクト化の流れは来ると感じているので、そういった部分にはフレキシブルに対応し、提案していきたいと考えています。
ー今季はGEOFF MCFETRIDGEとのコラボレーションもありましたが、その経緯と理由について教えてください。
釣りファンを増やすためのより多角的なアプローチという意味で、釣りとファッションの架け橋だけでなく、次は“釣りとアート”の架け橋を目指していきたいと考えていました。そこでアウトドアカルチャーに精通し、釣りに対しても理解のあるGEOFF MCFETRIDGE氏とコラボレーションを提案させていただきました。世界的なアーティストさんであるので、実現は難しいと思っていたのですが、彼がDAIWAギアのファンであったことと、過去にDAIWA PIER 39の服を提供させていただいた際に、とても気に入って下さっていたことも重なり、実現するコトが出来ました。正式にコラボレーションが決まった時は、チームでも非常に盛り上がったことを、今でも昨日のことのように覚えています。ローンチのタイミングでは、中禅寺湖にある旧イタリア大使館別荘副邸でエキシビジョンを開催。本イベントのためだけにアート作品を描き下ろしていただいただけでなく、GEOFFさんご本人も情熱を持って設営に取り組んでいただき、とても素晴らしい空間を作ることができました。
―DAIWA PIER 39が、今後アパレルシーンで目指していくポジションは?
あくまでスポーツブランドであるという軸の中で、その新たな可能性を世界に向けて表現できるブランドになりたい、というのが自分の想いです。例えばNIKEやTHE NORTH FACEなどのビッグブランドって、カルチャーとしてもファッションアパレルとしても世界的に確立されていますが、釣りというカルチャーの中から、そこまでのブランドは出てきていないですよね。大きな夢ですが、DAIWAという背景は、それに匹敵するくらいに成長ができるポテンシャルを持っているんじゃないかと感じています。
―DAIWA PIER 39として、果たすべき社会的責任とは?
海洋汚染をはじめ環境保全という課題はDAIWA PIER 39としても重要視すべきですし、循環型社会への取り組みなども果たすべき社会的責任だと認識しています。とはいえやはりリサイクルの素材って、単純に生地のポテンシャルを見た時に、良いものが少ないのも事実です。その中で如何にデザインとブランディングを維持しながらサスティナビリティを実現していくのかという点については、クリエイティブとはまた違う領域の大きなミッションとして取り組んでいます。
―UNIONの印象をお聞かせください。
僕個人レベルでいうと、UNIONさんは昔から憧れの存在であり、アメリカに行った際には、何度もLA、NYのお店に行かせていただいていました。特にオーナーがCHRIS GIBBSさんに変わってからのUNIONは、カッティングエッジなストリートの文脈を掘り下げ続けながら、日本のブランドもメゾン系のブランドも取り扱っていますよね。そこにカリフォルニアの風を感じるプレゼンテーション。それはCHRISさんのパーソナリティーであり、お世辞抜きに、世界でも唯一無二のショップだと思います。
―UNION TOKYOでの取り扱いを始めた経緯は?
ありがたいことに、オファーをいただいてお取引が始まったのですが、こちらとしては、お断りする何も理由はありませんでした。特に自分は単純にUNIONのファンですから、お話をいただいた際は、とにかく嬉しいのひと言でしたね(笑)。それにUNIONのショップやプロダクトって、色使いや細かなディテールなど、随所にカリフォルニアやLAの歴史が息づいていて、ノスタルジックな西海岸の空気感を纏っていますよね。おこがましいですが、そういったテイストやアティチュードは、DAIWA PIER 39の目指すべき理想形とも、少なからず似通った部分があるように感じています。
―今後UNIONに期待することは?
先ほどのとおり、自分は昔からUNIONファンですから、もうこのまま突き進んでください、というだけです。強いて言えば、コラボレーションが実現できたら嬉しいですね。そしていつの日かLAのお店でも取り扱っていただけるように、僕ら自身も成長し続けていきたいと思っています。
個性豊かなブランドが肩を並べるUNION TOKYOのラインナップの中でも、ファンクショナルとファッションの新たなるクロスオーバーの形として、ひと際の異彩を放つDAIWA PIER 39。言わずもがな、世界的なシェアを誇る日本発の釣具「DAIWA」のアパレルラインである。そんな他ブランドとは一線を画す特異な出自を持ちながらもUNIONはじめ多くのファッション関係者から高いプロップスを得る、DAIWA PIER 39のデザインチームリーダーにインタビューを敢行。
―DAIWA PIER 39設立のきっかけ、目的を教えてください。
元々DAIWAのアパレルラインは存在していたんですが、やはり釣具としてのギアウェアという認知のほうが強かったんですよね。そういった中で、今から5〜6年前くらいに、フェスやキャンプに参加する感度の高い方々の間で、フィッシングベストなど機能的なフィッシングギアを取り入れたスタイリングがにわかにブームになったんです。そしてそれがもう少し一般的なファッションカルチャーの領域にまで広がったタイミングで、DAIWAとしても、これまでと違う角度から若年層に釣りというカルチャーを広めるチャンスであると同時に、その必要性を強く感じ、2020年の春夏にデビューしました。なので根本的には、あくまで釣りというカルチャーを広めるためであり、今までとは違った視点からファン層を拡大するためのプロジェクトの一貫だと捉えています。
―具体的に、これまでのDAIWAアパレルとはどのように差異をつけていますか?
まずは、DAIWAが培ってきたファンクショナルな側面と、よりコアなファッションの領域をかけ合わせるということが大前提。だけど僕たちのデザインチームではそのための出発点を、既存のパフォーマンス系のファッションアパレルとは180°逆の位置からアプローチしています。つまり、釣りのためのカッコいい服を作るのではなく、釣りもできるファッションアパレルを作る。そうすることで、既存のDAIWAアパレルだけではなく、他ブランドと比べても特徴的な差異が生み出せると考えています。例えば、1stシーズンから作っているセットアップのラペルジャケット。外観はゆったり目な2つボタンのジャケットなんですが、前を開くと、中に釣りに適したポケットがたくさんついている。今までの釣りウェアでは、当然外側に配置されていたポケットを内側に忍ばせることで、タウンユースアパレルとしての完成度を高めたアイテムです。そういった釣りウェアとしての機能性を内に秘めるという点は、いつも意識していますね。
―使用する素材に基準やルールなどはありますか?
天然繊維は可能な限り使わないようにしています。やっぱりいつ濡れてもおかしくない釣りの現場での機能性を考えると、天然繊維よりも化学繊維の方にメリットがありますからね。それはもちろん生地だけでなく、例えばジッパーやボタンも、錆びることのないプラスチックを使っていたり。とはいえデザインの方向性をファンクショナルに振ってしまうと既存のDAIWAアパレルに似てきてしまうので、ルックス的には、ミリタリーやクラシックアウトドアなど、機能性を備えたベーシックなアメカジを目指しています。見た目はヘリテージでクラシックなんだけど、触ってみたらハイテク。その点が通常のアウトドア系ウェアと逆行しているところであり、DAIWA PIER 39最大のストロングポイントと言えるのではないでしょうか。
―ボックスシルエットが印象的ですが、理由やイメージソースはありますか?
現状、そういうイメージが付いてしまっていることは否めないのですが、実は僕らとしては、サイズ感をブランドのアイコンにはしたくないと思っています。今のそれはあくまで、ファッションアパレルとしてのエッジを追求した結果なんです。なぜなら釣りのファン層を広げるというミッションを持ったDAIWA PIER 39としては、先ほどお伝えしたブランドのコアとなる考え方はブレさせずに、それ以外の部分では、その時々のトレンドにフィットしたブランドであるべきだと考えています。なので今後ファッション業界のトレンドがタイトなフィット感に移っていくなら、僕たちも、そういう風になっていく可能性は充分にありえますし、実際、最近はスリムシルエットのパンツなどもリリースしているんですよ。シルエットのコンパクト化の流れは来ると感じているので、そういった部分にはフレキシブルに対応し、提案していきたいと考えています。
ー今季はGEOFF MCFETRIDGEとのコラボレーションもありましたが、その経緯と理由について教えてください。
釣りファンを増やすためのより多角的なアプローチという意味で、釣りとファッションの架け橋だけでなく、次は“釣りとアート”の架け橋を目指していきたいと考えていました。 そこでアウトドアカルチャーに精通し、釣りに対しても理解のあるGEOFF MCFETRIDGE氏とコラボレーションを提案させていただきました。世界的なアーティストさんであるので、実現は難しいと思っていたのですが、彼がDAIWAギアのファンであったことと、過去にDAIWA PIER 39の服を提供させていただいた際に、とても気に入って下さっていたことも重なり、実現するコトが出来ました。正式にコラボレーションが決まった時は、チームでも非常に盛り上がったことを、今でも昨日のことのように覚えています。ローンチのタイミングでは、中禅寺湖にある旧イタリア大使館別荘副邸でエキシビジョンを開催。本イベントのためだけにアート作品を描き下ろしていただいただけでなく、GEOFFさんご本人も情熱を持って設営に取り組んでいただき、とても素晴らしい空間を作ることができました。
―DAIWA PIER 39が、今後アパレルシーンで目指していくポジションは?
あくまでスポーツブランドであるという軸の中で、その新たな可能性を世界に向けて表現できるブランドになりたい、というのが自分の想いです。例えばNIKEやTHE NORTH FACEなどのビッグブランドって、カルチャーとしてもファッションアパレルとしても世界的に確立されていますが、釣りというカルチャーの中から、そこまでのブランドは出てきていないですよね。大きな夢ですが、DAIWAという背景は、それに匹敵するくらいに成長ができるポテンシャルを持っているんじゃないかと感じています。
―DAIWA PIER 39として、果たすべき社会的責任とは?
海洋汚染をはじめ環境保全という課題はDAIWA PIER 39としても重要視すべきですし、循環型社会への取り組みなども果たすべき社会的責任だと認識しています。とはいえやはりリサイクルの素材って、単純に生地のポテンシャルを見た時に、良いものが少ないのも事実です。その中で如何にデザインとブランディングを維持しながらサスティナビリティを実現していくのかという点については、クリエイティブとはまた違う領域の大きなミッションとして取り組んでいます。
―UNIONの印象をお聞かせください。
僕個人レベルでいうと、UNIONさんは昔から憧れの存在であり、アメリカに行った際には、何度もLA、NYのお店に行かせていただいていました。特にオーナーがCHRIS GIBBSさんに変わってからのUNIONは、カッティングエッジなストリートの文脈を掘り下げ続けながら、日本のブランドもメゾン系のブランドも取り扱っていますよね。そこにカリフォルニアの風を感じるプレゼンテーション。それはCHRISさんのパーソナリティーであり、お世辞抜きに、世界でも唯一無二のショップだと思います。
―UNION TOKYOでの取り扱いを始めた経緯は?
ありがたいことに、オファーをいただいてお取引が始まったのですが、こちらとしては、お断りする何も理由はありませんでした。特に自分は単純にUNIONのファンですから、お話をいただいた際は、とにかく嬉しいのひと言でしたね(笑)。それにUNIONのショップやプロダクトって、色使いや細かなディテールなど、随所にカリフォルニアやLAの歴史が息づいていて、ノスタルジックな西海岸の空気感を纏っていますよね。おこがましいですが、そういったテイストやアティチュードは、DAIWA PIER 39の目指すべき理想形とも、少なからず似通った部分があるように感じています。
―今後UNIONに期待することは?
先ほどのとおり、自分は昔からUNIONファンですから、もうこのまま突き進んでください、というだけです。強いて言えば、コラボレーションが実現できたら嬉しいですね。そしていつの日かLAのお店でも取り扱っていただけるように、僕ら自身も成長し続けていきたいと思っています。