新連載、EAT UP TOKYOでは東京で活躍する感性豊かなシェフにフォーカス。彼らのクリエイティブを掘り下げ、コミュニティを繋いでいくことで、食カルチャーの現在が見えてくる。第一回は、野田雄紀さん。フランス料理「kiki harjuku」から日本料理「野田」へ、新しい和食の姿を追求するモチベーションを探る。
Photo:Toru Yuasa Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT] Production:MANUSKRIPT
野田雄紀 1983年生まれ、静岡県出身。2004年に渡仏。28歳で原宿に【kiki harajuku】をオープン。経営を続けながら日本料理店で経験を積み、2023年10月には「野田」としてリニューアル。「旬は一瞬のもの」として、“24節季”と言われる太陽や月の動きを基に、些細な自然の変化を捉えた考え方、そして流通のインフラが整う東京という場所がベースになっている。「食材を最大限に引き出す」日本料理の伝統の調理法を踏まえながらも、既成概念に囚われることなく、味と香りの相乗効果を考えた特別な一皿を模索する。
原宿、明治通りから一本入ったいわゆる路地裏に「野田」はある。同じ場所で12年間創作フレンチを楽しめる「kiki harajuku」として人気を博すも、「自分が料理をする意味」を考え、定休日を利用し日本料理の名店【重よし】にて約1年間修行した結果、2023年に内装も刷新し、リニューアルオープンした。「野田」の看板は、MINNA-NOの中津川吾郎さんのグラフィックによるもの。ストリートカルチャー、そしてUNIONとの接点も深い。
「日本人として何ができるかということを考えていたので、修行時代からフランス料理をどこか客観的に見ていたかもしれません。kiki harajukuでは、カジュアルなビストロスタイルで和の要素が入ったフランス料理を作っていました。1年間の日本料理店での経験を活かし、現代の解釈で日本料理を作ったら面白いんじゃないかと思うようになりました。」
「現代人は和も洋も中華もアジアンも食べるし、日常的にパンも食べます。野田では『contemporary take on traditional japanese cuisine』をテーマにしていて、料理の歴史を時間軸で捉えて、伝統的な日本料理を現代の感覚で作れたらと考えているんです。日本で採れる魅力的な食材でも日本料理には使われないものも沢山あったりするので、今までの経験を活かして料理に取り入れています」
野田は基本的にコース料理のみ。季節の食材を生かし、1ヶ月半のペースでメニューをほぼすべて変えている。もちろん、ペアリングの提案も変わる。新しいものを常に考え続けなくてはならない環境の中で、守っている軸は和の伝統という。
「メニューを見ていただければわかるのですが、「揚げ出し」や「うざく」、「すきやき」など、すでに名前がある料理を作っています。ゼロから真新しいものをクリエーションするというよりも、今まであったものを別の視点で捉えて新たな魅力を生み出したいと考えています。そこに相性の良い食材同士を組み合わせた相乗効果を料理に落とし込んでいくのが今の自分のスタイルです」
「現代人は和も洋も中華もアジアンも食べる。日常的にパンを食べます『contemporary take on traditional japanese cuisine』をテーマに、料理の歴史を時間軸で捉えてみました。伝統的な日本料理を現代の感覚で作れたらと考えているんです。日本で採れる魅力的な食材でも日本料理には使われないものも沢山あったりするので、今までの経験を活かして料理に取り入れています」
常に変化を求めるマインドは、生まれ育った環境がベースになっている。野田がオープンしてから、店の外で自らハーブを育てるようになった。
「同じメニューを作り続けている良さもありますが、自分の場合は変わっていくことが自然だと思うし、好きなんです。学生時代のバンドやDJなどの経験も大きいかもしれません。レコードを掘って良い作品に出会ったときの衝撃が、そのまま料理になったって感じです」
「ハーブの苗は、地元静岡の浜松の苗屋さんから仕入れています。その人の食材のディグり方が面白くてお店にかなり反映されています。春と秋にうちの野菜とハーブを作ってくれている農家さんと苗を見にいくんです。そこで農家さんに作ってもらうものと、店で育てるものとを決めます。店で摘み立てで使えるのが嬉しくて」
5月半ばから6月後半のコースメニューより無花果の「揚げ出し」。 同じ香り成分のシトラールを持つ生姜とレモングラスの組み合わせ。
炭火焼きしたグリーンアスパラ、生麩、平貝、サザエを、炒りたての荏胡麻とサザエの肝で作ったソースで絡めた「荏胡麻和え」。
野田
住所:東京都渋谷区神宮前6丁目9-9 アヴニール表参道 1F
電話番号:070-3882-3150
営業時間:12:30 - 15:00(日・祝) / 19:00 - 22:30
定休日:水曜日
NODA
Address: 1F Avenue Omotesando, 6-9-9 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo
Telephone number: 070-3882-3150
Business hours: 12:30 - 15:00 (Sundays and National holidays) / 19:00 - 22:30
Closed: Wednesdays
新連載、EAT UP TOKYOでは東京で活躍する感性豊かなシェフにフォーカス。彼らのクリエイティブを掘り下げ、コミュニティを繋いでいくことで、食カルチャーの現在が見えてくる。第一回は、野田雄紀さん。フランス料理「kiki harjuku」から日本料理「野田」へ、新しい和食の姿を追求するモチベーションを探る。
Photo:Toru Yuasa Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT] Production:MANUSKRIPT
Yuki Noda / NODA
@nodaharajuku
野田雄紀 1983年生まれ、静岡県出身。2004年に渡仏。28歳で原宿に【kiki harajuku】をオープン。経営を続けながら日本料理店で経験を積み、2023年10月には「野田」としてリニューアル。「旬は一瞬のもの」として、“24節季”と言われる太陽や月の動きを基に、些細な自然の変化を捉えた考え方、そして流通のインフラが整う東京という場所がベースになっている。「食材を最大限に引き出す」日本料理の伝統の調理法を踏まえながらも、既成概念に囚われることなく、味と香りの相乗効果を考えた特別な一皿を模索する。
原宿、明治通りから一本入ったいわゆる路地裏に「野田」はある。同じ場所で12年間創作フレンチを楽しめる「kiki harajuku」として人気を博すも、「自分が料理をする意味」を考え、定休日を利用し日本料理の名店【重よし】にて約1年間修行した結果、2023年に内装も刷新し、リニューアルオープンした。「野田」の看板は、MINNA-NOの中津川吾郎さんのグラフィックによるもの。ストリートカルチャー、そしてUNIONとの接点も深い。
「日本人として何ができるかということを考えていたので、修行時代からフランス料理をどこか客観的に見ていたかもしれません。kiki harajukuでは、カジュアルなビストロスタイルで和の要素が入ったフランス料理を作っていました。1年間の日本料理店での経験を活かし、現代の解釈で日本料理を作ったら面白いんじゃないかと思うようになりました。」
「現代人は和も洋も中華もアジアンも食べるし、日常的にパンも食べます。野田では『contemporary take on traditional japanese cuisine』をテーマにしていて、料理の歴史を時間軸で捉えて、伝統的な日本料理を現代の感覚で作れたらと考えているんです。日本で採れる魅力的な食材でも日本料理には使われないものも沢山あったりするので、今までの経験を活かして料理に取り入れています」
野田は基本的にコース料理のみ。季節の食材を生かし、1ヶ月半のペースでメニューをほぼすべて変えている。もちろん、ペアリングの提案も変わる。新しいものを常に考え続けなくてはならない環境の中で、守っている軸は和の伝統という。
「メニューを見ていただければわかるのですが、「揚げ出し」や「うざく」、「すきやき」など、すでに名前がある料理を作っています。ゼロから真新しいものをクリエーションするというよりも、今まであったものを別の視点で捉えて新たな魅力を生み出したいと考えています。そこに相性の良い食材同士を組み合わせた相乗効果を料理に落とし込んでいくのが今の自分のスタイルです」
「現代人は和も洋も中華もアジアンも食べる。日常的にパンを食べます『contemporary take on traditional japanese cuisine』をテーマに、料理の歴史を時間軸で捉えてみました。伝統的な日本料理を現代の感覚で作れたらと考えているんです。日本で採れる魅力的な食材でも日本料理には使われないものも沢山あったりするので、今までの経験を活かして料理に取り入れています」
常に変化を求めるマインドは、生まれ育った環境がベースになっている。野田がオープンしてから、店の外で自らハーブを育てるようになった。
「同じメニューを作り続けている良さもありますが、自分の場合は変わっていくことが自然だと思うし、好きなんです。学生時代のバンドやDJなどの経験も大きいかもしれません。レコードを掘って良い作品に出会ったときの衝撃が、そのまま料理になったって感じです」
「ハーブの苗は、地元静岡の浜松の苗屋さんから仕入れています。その人の食材のディグり方が面白くてお店にかなり反映されています。春と秋にうちの野菜とハーブを作ってくれている農家さんと苗を見にいくんです。そこで農家さんに作ってもらうものと、店で育てるものとを決めます。店で摘み立てで使えるのが嬉しくて」
5月半ばから6月後半のコースメニューより無花果の「揚げ出し」。 同じ香り成分のシトラールを持つ生姜とレモングラスの組み合わせ。
炭火焼きしたグリーンアスパラ、生麩、平貝、サザエを、炒りたての荏胡麻とサザエの肝で作ったソースで絡めた「荏胡麻和え」。
野田
住所:東京都渋谷区神宮前6丁目9-9 アヴニール表参道 1F
電話番号:070-3882-3150
営業時間:12:30 - 15:00(日・祝) / 19:00 - 22:30
定休日:水曜日
NODA
Address: 1F Avenue Omotesando, 6-9-9 Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo
Telephone number: 070-3882-3150
Business hours: 12:30 - 15:00 (Sundays and National holidays) / 19:00 - 22:30
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